吉呑みをしながらツンデレに思いを馳せる 完結編

結局俺は吉野家で生ビール二杯と牛皿(並)、牛すじ煮込み、芝海老の素揚げを飲み食いした。
全部で1470円。
安いっちゃ安い。

味の方はというと、ビールが最高に美味かった。
銘柄はサントリーのモルツザドラフトらしい。
モルツザドラフトは前にもどこかの店で飲んだことがある気がするけど、その時はそれほど美味く感じなかった気がするので不思議なものだ。

つまみは微妙だった。
牛皿はもちろんあの牛皿なので美味いし安い。
けれども牛すじ煮込みはぬるいし味もいまいちで、250円の牛皿と比べて350円というのは高く感じる。
芝海老の素揚げも少し冷めている上に味付けがあまりにもしょっぱくて閉口してしまった。

二杯目のビールを飲みながら俺はツンデレについて考えた。
もともとツンデレという言葉がなかった頃、俺たちは普通の漫画のキャラクターにツンデレを見いだしていた。
「普段はツンツンしてるけど微妙にデレる瞬間のあるキャラクターは最高だぜ!」と思っていた。
しかしツンデレという単語が生まれ、それが一般に認知され普及することによって、キャラクターのテンプレートとして過剰なツンデレ像が描かれるようになる。
キャラクターを作る人は、もちろんニーズに応えてキャラクターを作っているのだろうけど、俺はどうもそれがサービス過剰のような気がして、素直にツンデレを楽しめなくなってしまった。

結局はそういうことなのだ。

飲み屋ではないファストフードやファミレスで飲むというのは、ある種ハック的な楽しみでもあったはずだ。
ビールやワインを置いている飲食店に「飲み」を見いだして飲み屋として使うのが楽しかったのだ。
もちろんもともと飲み屋ではないので、飲み屋としてのクオリティは全く期待していなかった。
つまみの種類が少ないのも居心地がよくないのも、飲み屋じゃないから全然許せた。
しかし吉野家から「吉呑み」と言って飲み屋的なものを提示されると、どうしても飲み屋的なクオリティを求めてしまうのだ。

そんなことを考えているうちに吉野家2階の飲み席には順番待ちの列ができていたので、俺は残ったビールを空けて会計をすませた。
店にいたのは30分ほどだろうか。

外に出るとぬるい風が吹いていた。

「もう少し飲みたいな」

俺は向かいにある日高屋へ入り、ビールと餃子とおつまみ唐揚げを注文した。

おわり

「吉呑みをしながらツンデレに思いを馳せる 完結編」への1件のフィードバック

  1. ツンデレという言葉が原義から外れている文章である気がするが、コメントで指摘するにとどめる。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です