僕は状況認識能力が低い

先日、駅のホームでボーッとポスターを眺めていたら後ろの停車中の電車の中から「すみませーーーーん!!」という女性の大声が聞こえた。
なんだなんだ、どうしたんだ。
振り返るとそこには電車のドアから半身を出しながらホームの改札方向に向けて叫んでいる女性。
手には傘を持っている。
どうやら僕に対して声をかけているわけではないらしい。
ならいいや、僕の問題ではないらしい。
しかしホームの誰も振り返らない、いったい何なんだろう。
そう思いながら再びポスターに目を戻した。
「すみませーーーーん!!」と再び後ろで声がする。
発車ベルが鳴る。
ドアが閉まる。
ぷしゅー、がたんごとん。
ああ、そういえばなんでこの女性は大声をだしていたのだろう。
誰に対して何の用事で「すみません」と言ったのだろう。
ポスターから目を外して少し考えた。
女性は手に傘を持っていた。
そうか、あの女性は電車内に忘れられた傘に気づいてその持ち主を呼んだのではないだろうか。
傘が忘れられていることには気づいたが、停車時間がほとんどない地下鉄ではわざわざ降りて手渡しすることはかなわず、降車した何人かのうちの中の誰かに向けて「すみません、傘を忘れていませんか」という意味でその言葉を発したのではないのだろうか。
それに気づいたときには電車は既に暗い地下の線路の向こうに行ってしまって、がおおという走行音が小さく聞こえるだけであった。
電車から降りた人のすべては改札口に向かっており、誰が傘を忘れた人なのか全くわからなくなっていた。
僕はその場ですぐに「誰が傘を忘れたんですか」と言えなかった自分の反応の悪さを呪い、「すみません」というアバウトな呼びかけしかできない善意の女性を呪い、そもそも傘を忘れた人を呪った。

という話を知人にしたら「いや別に傘を忘れたとは限らないんじゃね?万が一傘を忘れたとしてもおまえが気に病むことはないんじゃね?」って言われたのですが僕の中では絶対傘を忘れたシチュエーションだと思ったので今ここでブログに書きました。

気に病むべきことかどうかは知らないね。

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