基本的に僕は、人の許容範囲というのはデフォルト状態だと非常に狭いと思っています。
なかなか一般的ではない趣味や思想というのは、例え愛し合う間柄であっても、なかなか理解し合えるモノではないと思っているのです。
なので、できるだけ自分の理解されにくい部分を恋人(好きな人・近しい人・知人)にカミングアウトする場合には、順序を踏んで、なるべく理解されやすそうなところから順番にカミングアウトした方が相手の理解を得やすいと思っているのですよ。
例えば僕は「ゆるゆり」という女子中学生がいっぱいでてくる緩やかな百合表現のあるようなマンガ・アニメ作品が好きなのですが、知り合ったばかりの女性にそれを伝えると、おそらくドン引きされます。
アニメで、
中学性で、
百合ですからね。
なので、知り合った当初は「けっこうアニメとか見るんだよね」というところからスタートして「日常を描くようなのほほんとした作品が好きなんだよね」という流れで、最終的に「ゆるゆりっていう漫画を原作としたアニメ作品が女子中学生の何気ない日常を切り取っていて、癒やされるんだよね」という風に話を進めるようにしています。
それで話題にクッションを置けているつもりなのかと問われると微妙なのですが、まあ最初から「女子中学生がいっぱいでてくる百合っぽい感じのアニメ、具体的にはゆるゆりが好き」とは紹介しないのです。
しかし世の中にはそれとは違うアプローチの仕方をする人がいます。
僕の友人である某さんは「最初に一番理解されづらいところを伝えておいた方が、最初に可か不可かというのが全てわかる」というのです。
急進派的アプローチと言えるでしょう。
まあ一番伝わりにくいところから伝えてしまえば、残りの全部は伝わるだろうし、ストレートでいい、わかりやすい表現です。
最初に理解しがたいジャンルを紹介して、それでも受け入れてもらえるのならば、そりゃあ他のマニアックなジャンルも受け入れてもらえるでしょう。
まあ、この辺のカミングアウトの仕方というのは、オタクカルチャーに属している人であれば誰でも悩むことが多いことだと思います。
実際僕も悩みました。
「どの辺までなら通じるのか」
「通じない前提で最初から全部言ってしまおうか」という難しい悩みです。
僕は少しずつ理解を得たいタイプなのですが、「絶対わからんだろ、これ!」というような話題を放り投げて、それを拾ってもらえたときの嬉しさというのはたまらないものがあるのはわかります。
以前飲み会で「どんな音楽を聴くのか」ということを尋ねられて、当時よく聞いていたわりとマイナー目バンドを「絶対知らないだろうな、誰も」と思いつつ挙げたら、実は尋ねてきた人が知っていて「この人、すごい音楽の守備範囲広いなー」と感動したという僕のエピソードがあります。
たぶんこれ僕が最初から「相手の守備範囲に収まりそうなミュージシャン」ということでオリコンチャートに入るミュージシャンを答えていたらものすごいつまらない結果になっていたと思うのですよね。
そういう意味では「相手のストライクゾーンに収まらなそうでも、とりあえず放ってみる」というのはわりと感動をよぶ、よい選択肢かもしれません。
目下の問題は、そういった多少マニアックな話題を振る機会というのが、最近の僕には全くないと言うことでしょうか。
悲しいですね。